歴史3(フィリピンの女性進出)

①国際クレジット会社「MasterCard Worldwide」が、アジア・太平洋地域の13市場を対象に行った「女性の社会進出度」調査によると、女性がどのくらい男性と同等の立場にいるかを示した指標(100が男女平等)で、1位がニュージーランドで、次いで87.43でフィリピン、日本は46.93と最もに低く3年連続最下位だった。

②またフィリピン労働雇用省の発表によれば、2006年度における女性の管理職は225,7万人で、男性管理職の162,9万人を大きく引き離した。2002年に行われた調査では、女性管理職が186万人で、男性管理職が140万人とそれほど差はなく、ここ数年で急速に女性の社会進出が進んだことが分かる。

③フィリピンでは一般的に女性の方が勤勉で高学歴のイメージがある。特に流暢(りゅうちょう)な英語が必要とされる外資系の企業などでは、結果的に女性が広く採用される理由にもなっているようだ。男性労働者の五人に一人が大卒なのに比べ、女性労働者は三人に一人が大卒との調査結果も出ている。

④フィリピンで女性の社会進出が活発な理由は、母系社会で女性が男性と対等に働くことに違和感がないことに加え、子育てのスタイルが大きい。フィリピンは大家族が多く、親戚(しんせき)間の交流も活発で、気軽に子守を頼める環境があり、保育園など必要ない。さらに多少の出費で家政婦も雇えるため、小さな子供がいる女性でも仕事に集中できる。こういう文化的な背景がフィリピン女性の社会進出を支えていると言える。

(補)フィリピンの働く女性を代表するアロヨ大統領も、米誌フォーブスの「強い女性百人」という特集で51位に選ばれるなど健闘している。


1975年、当時の大統領マルコス大統領のファーストレディーのイメルダ・マルコスにより「女性を経済、社会、文化的発展に完全に参画させるための方法を検討、評価、諮問する機関」としてNCRFW(フィリピン女性の役割全国委員会)が設立される。
1986年、マルコスの後釜で政権を担うことになった(女性)大統領アキノが政策形成機関としてNCRFWの機能を拡大し、女性のエンパワメントとジェンダーの平等のために指揮をとる政府機関のリーダーとして、ジェンダーと開発の観点から、国の開発計画がジェンダーに対応するようなものとなるような計画の策定、法律や政策についてのジェンダー分析の実施、「開発と国家建設における女性法」の履行状況や予算の監視と評価など、多岐にわたる事業を展開している。
2001年、(女性)大統領アロヨが2001年-10年には特に女性の経済エンパワメントの推進、女性の人権の実現と保護、ジェンダーに対応した統治の推進の3点に焦点をあて、これを実現するプランとして、女性のためのフレームワークプラン2001-04を策定した。((この政策が前述の②の結果を導いたと考えられる))

〈〈参考文献〉〉
(男女共同参画グローバル政策対話 . フィリピン講演原稿 . website . http://www.gender.go.jp/global/gb01-bj.pdf)
(日経BPネット . アジア太平洋での女性社会進出度 . website . http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q2/574051/)
(Mastercard Worldwide .ニュース編集 添付資料 . website . http://www.mastercard.com/jp/company/jp/press/070308b.html )
(世界のおもしろニュース . 女性雇用の先進国 . website . http://blog.worldtimes.co.jp/archives/50760885.html)
(大阪府ホームページ. アジア各国・地域の取組み . website . http://www.pref.osaka.jp/kokusai/asia/fellowship/philippines.html)

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